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温度測定の選択肢:熱電対と白金測温抵抗体

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目次

はじめに

温度測定は、工業プロセスから科学研究まで、幅広い分野で重要な役割を果たしています。例えば、製造業では製品の品質や効率を保つために正確な温度制御が必要ですし、研究では物質の性質や反応の理解を深めるために高精度な温度計測が欠かせません。こうしたニーズを満たすために、熱電対と白金測温抵抗体といった温度センサが用いられています。しかし、熱電対と白金測温抵抗体のどちらを選ぶべきか、その違いや選び方に悩んだことはありませんか?この記事では、あなた自身のニーズに合ったデバイスを選ぶためのヒントを提供します。

熱電対の特徴

熱電対は、異なる金属から構成される導線2本が接合された温度センサです。異なる金属が接触している際に温度差によって電圧差が生じるゼーベック効果という現象に基づいており、熱エネルギーの運動によって電子が動くことで電圧差が発生します。これにより、温度差を電圧に変換する効果が生まれます。

・広い温度範囲で使用可能

熱電対は極端な低温から高温まで広い温度範囲で使用でき、高温や極端な環境下でも安定した測定が可能です。これにより、異なる産業や用途で幅広く利用されています。

・堅牢な構造

熱電対は比較的単純な構造を持っており、耐久性が高いです。このため、工業環境などでの温度計測に適しています。長期間の使用においても耐久性が高く、安定した測定結果を提供します

・多様な種類

熱電対にはさまざまな種類の組み合わせが存在し、それぞれ異なる温度範囲や環境に適しています。
測定温度、測定環境、必要な精度といった条件により熱電対の種類を選定しますが、K、J、Rは比較的よく使われます。

・低コスト

熱電対は一般的に低コストで入手可能です。これにより、大規模なプロジェクトや工業環境での多数の温度計測ポイントに利用されることがあります。

測定原理

基準接点を0℃とすることで測定点との温度差が発生し、その温度差に対して回路間に熱起電力が発生します(ゼーベック効果)。熱電対を温度調節器に接続する場合、基準接点は温度調節器の端子に接続しますが、基準接点の温度は周囲の温度によるため0℃にはなっていません。そのため、温度調節器内部で基準接点の温度を検出し、基準接点が0℃になるように電気的に補償を行います。熱電対の端子が直接温度調節器に届かない場合、補償導線と呼ばれる熱電対と同じような特性を持った金属導線を必ず使用し延長します。これにより、温度調節器に届く信号の品質を保ちながら、熱電対と同じ原理で正確な温度計測を行うことが可能です。補償導線ではない銅線で延長すると正確な測定をすることが出来なくなります。

白金測温抵抗体の特徴

白金測温体は白金(プラチナ)の抵抗が温度変化によって変わる特性を利用しています。高い精度と安定性を持ち、精度が求められる場面で頻繁に使用されます。
熱電対では端子に届かない場合、補償導線で延長する必要がありましたが白金測温抵抗体では補償導線は使いません。出来るだけ抵抗値の低い銅線を使用し、各線の長さが同じものを使用します。

・高精度な測定
白金測温体は非常に高い測定精度を提供します。白金の抵抗が温度に応じて線形的に変化するため、非常に正確な温度計測が可能です。特に科学研究や医療分野など、精度が重要な場面で頻繁に使用されます。

・再現性と信頼性
白金測温体は、測定値の再現性と信頼性が非常に高いです。同じ条件下で同じ温度において一貫した測定結果を提供し、温度の変化に対する安定性があります。

・耐久性
白金は化学的に安定しており、腐食に強い素材です。そのため、長期間の使用においても性能が変わりにくく、耐久性が高いとされています。

・コスト
白金測温体は高い測定精度と信頼性を提供するため、熱電対と比べるとコストがかかる傾向があります。

どちらを選ぶべき?

熱電対と白金測温体、どちらがあなたに適しているでしょうか?使用環境や測定精度の要求に合わせて選ぶことが大切です。熱電対は幅広い範囲で使用可能な堅牢なデバイスであり、工業などの分野に適しています。一方、白金測温抵抗体は高い精度と信頼性が求められる状況で活躍します。あなたの目的に合わせて、最適な温度センサを選んでみましょう。

まとめ

熱電対と白金測温体は、温度測定における主要な温度センサです。どちらを選ぶべきかは、用途や精度の要求によって異なります。熱電対は幅広い範囲で使用できる汎用性がありますが、白金測温抵抗体は高い性能と安定性が魅力です。適切なデバイスを選ぶためには、あなたのニーズや用途に合わせて検討することが大切です。この記事を通じて、どちらのデバイスがあなたにとって最適なのか、自分のプロジェクトに適した選択をする手助けになれば幸いです。

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