「省エネのために既設盤の電力監視をしろ」と言われても、スペースも予算もなくて頭を抱えていませんか?
無理にCTを押し込めば事故の元ですし、配線工事の見積もりを出せば「高すぎる」と却下される。これではいつまで経ってもIoT化なんて進みません。
現役の電気設計エンジニアとして、日々いろいろな機器を選定していますが、先日三菱電機のカタログを見ていて「おっ、これは現場の『めんどくさい』をよく分かってるな」と思わず目が止まった面白い製品を見つけました。
それが、三菱電機の「端子カバー形計測器(One touch MDU)」です。
この記事では、私がカタログを見て「これは使えるかも?」と感じたメリットと、逆に「ここは注意が必要だな」と思ったエンジニア目線のポイントを解説します。 これを読めば、あなたの工場の「スペースがない盤」でも、低コストで電力監視を導入するヒントが見つかるはずです。
結論から言うと、「選択肢の一つとして知っておけば、ハマる現場にはめちゃくちゃハマる」 面白い製品です。
ただし、この製品を「トラブル解析(過負荷監視)」に使おうとすると、肝心な時にデータが取れず痛い目を見ることになります。採用前に必ず知っておくべき「構造上の弱点」についてもお話しします。
既設盤の電力監視は「スペース・配線・コスト」が3重苦
既設の制御盤や分電盤に対して、「後付けで電力計をつけたい」という相談は多いですが、実際の現場を見ると「物理的に無理」なことがほとんどですよね。
- CT(電流センサ)を取り付ける隙間がない
- 追加の計測ユニットを置くスペース(DINレール)がない
- 配線を通すダクトがいっぱいで、これ以上ケーブルを引けない
結局、「盤を改造する工事費が高すぎてペイしない」という理由で頓挫するのがオチです。 そんな「現場あるある」な悩みを、技術的なアプローチで解決してきたのが今回の製品です。
工事の面倒を全カット!三菱「One touch MDU」が面白い2つの理由
カタログスペックを確認して、個人的に「上手いところを突いてきたな」と感じたポイントは以下の2点です。
①CTもVTも不要!端子カバーを「被せるだけ」で設置完了

この製品の最大の特長は、「設置スペース」を極限まで減らしている点です。
- 結論: 既存の端子カバーと交換するだけで設置できます。
- 理由: 端子カバーの中に「電圧計測機能」と「電流センサ(CT機能)」が全て内蔵されているからです。
- 具体例: 通常ならCTをケーブルに挟み込んだり、電圧を取り出す配線加工が必要ですが、これはブレーカーの端子部分にスライドさせて固定するだけ。
「CTを無理やり押し込んで蓋が閉まらない!」というあのストレスから解放されるのは大きいですね。
②「配線レス」!無線通信で工事費を48%削減

さらに「無線通信」を採用している点があります。
- 結論: 盤内の通信線工事が不要になります。
- 理由: 計測したデータは、盤面の表示ユニットや収集ユニットまで無線で飛びます。電源もブレーカー端子から直接取るため、電源線すら不要です。
メーカー公称では、従来工法に比べて作業時間を約48%削減できるそうです。

休日の限られた停電時間で工事を終わらせたい保全担当者にとっては、かなり強力な武器になります。
【エンジニア視点】採用前に確認すべき3つの仕様上の注意点
「これ最強じゃん!」と思いきや、エンジニアとしては冷静にチェックしておくべきポイントもいくつかあります。導入してから「付かなかった!」とならないよう確認してください。
①対応機種は「32〜125AF」の三菱製ブレーカーのみ
当然ながら、物理的に形が合う三菱電機製のブレーカー(NF/NVシリーズ)にしか付きません。
対応フレームは32〜125AF(125Aフレーム)までとなっています。 ただ、省エネ監視で一番見たいのは、モーターやヒーターなどが繋がっている「分岐回路」だと思います。この製品はそのボリュームゾーンをしっかりカバーしているので、実務上はほとんど問題にならないはずです。
②トリップ時の電源喪失リスク(トラブル解析には不向き?)
構造を見ると、ブレーカーの二次側から電源供給を受けているようです。 ということは、「ブレーカーがトリップ(遮断)した瞬間に、この計測器自体の電源も落ちる」可能性が高いです。
- 省エネ監視(積算電力量): トリップ後は電気を使わないので問題なし。
- 保全・トラブル解析: 「トリップする直前に何A流れていたか?」というデータは、電源喪失と共に通信できなくなるため、リアルタイム監視には不向きな可能性があります。
導入後に「事故時のデータが取れてない!」と揉めないよう、「あくまで省エネ用(定常監視用)」と割り切って採用するのが安全でしょう。
③金属盤内での無線通信の安定性
盤の扉を閉めた状態で、金属筐体の中でどれくらい電波が安定するかも気になるところです。 インバータなどのノイズ発生源が至近距離にある場合も多いため、導入前にデモ機などでテストできると安心ですね。
まとめ:既設盤IoT化の「新しい選択肢」として面白い
三菱電機の「One touch MDU」は、既設盤改造のハードルを下げてくれるユニークな製品です。
こんな現場なら検討する価値アリです:
- とにかく盤内にスペースがない
- 工事費(人件費)を安く抑えたい
- 手軽に消費電力を「見える化」したい
- 盤内のブレーカーが三菱製で統一されている
万能ではありませんが、「配線工事が不要」というのは、改造案件においては大きなメリットです。 カーボンニュートラル対応で「工場の電力を測れ」と言われて困っている方は、「こういう手もあるんだ」とカタログをチェックしてみる価値はありそうです。
▼製品の詳細・カタログダウンロードはこちら 三菱電機 端子カバー形計測器(One touch MDU)製品ページ