「よし、4-20mAの流量センサーを買うぞ!」意気揚々とカタログを開いた新人を、次なる壁が待ち受けています。
- 2線式(2-Wire)
- 4線式(4-Wire)
「えっ、4-20mAって信号線とGNDの2本じゃないの? 4本って何?」「どっちを買えばいいの? どっちでも同じ?」
結論から言うと、全く別物です。適当に選ぶと動きません。最悪の場合、PLCのカード設定と合わずに買い直しになります。
今回は、実務経験9年の電気設計者である私が、カタログスペックの「線数(ワイヤー数)」の違いと、現場で「センサーと入力ユニットの組み合わせを間違えた!」という緊急事態を救うサバイバル術を解説します。
基礎知識:なぜ本数が違うのか?
違いはシンプル。「センサーを動かすための電源(Power)」をどう送るか、です。
1. 2線式(2-Wire):信号線が電源を兼ねる
- 別名: ループパワー、伝送器タイプ
- 仕組み: 4-20mAの信号電流そのものを、センサー自身の動作電源として使います。
- 配線: 「+」と「-」の2本だけ。
- メリット: 配線が少なくて済む(エコ)。
- デメリット: 大電力を使うセンサー(電磁流量計など)にはなれない。
- 代表例: 圧力センサー、温度センサー、レベル計。
2. 4線式(4-Wire):電源と信号が別々
- 別名: 4線式伝送器
- 仕組み: 「電源線(AC100VやDC24V)」と「信号線(4-20mA)」が完全に独立しています。
- 配線: 電源2本 + 信号2本 = 計4本。
- メリット: 電源をガッツリ使えるので、高機能なセンサーが作れる。
- デメリット: 配線工数が増える。
- 代表例: 電磁流量計、成分分析計、レーザー変位計。
※ちなみに「3線式」もありますが、これはポテンショメータ(電圧出力)でよく使われる方式で、4-20mAではあまり見かけません(一部の安価なセンサーにあるくらいです)。
【図解】PLCへの接続配線の違い
ここが最大の落とし穴です。「PLCの入力カード」の設定や配線も、2線式と4線式で変えなければなりません。

2線式のつなぎ方(直列回路)
2線式センサーは自分で電気を作れません。PLC側(または外部電源)から電気を供給してもらう必要があります。
そのため、「DC24V電源 → センサー → PLC入力 → 0V」というように、ぐるっと一周する直列回路(ループ)を組みます。
4線式のつなぎ方(独立回路)
センサー側ですでに電源をもらって動いているので、PLCには「信号(4-20mA)だけ」を送ります。
PLCの「I+」と「I-」に、センサーの出力線を繋ぐだけです。
★注意!
最近のPLCのアナログ入力ユニット(三菱のAD変換ユニットなど)には、配線を変えるだけで2線/4線両方に対応できる便利なものもあれば、「2線式専用」「4線式専用」と分かれているカードもあります。
「センサーは2線式なのに、カードは4線式専用だった!」とならないよう、選定段階で**「電源供給方式」**を必ず確認してください。
【コラム】緊急事態!「PLCが電圧入力しか対応していない」時の裏技
ここで、現場でよくあるトラブルの解決策を伝授します。
状況:
「4-20mAのセンサーを買った。しかし、現場のPLCを見たら電圧入力(1-5V)専用の古いカードしか付いていなかった…!」
対策:
諦めてセンサーを買い直す? いえ、数十円の部品で解決できます。
オームの法則($V=IR$)を使いましょう。
必殺:250Ωシャント抵抗(Shunt Resistor)
PLCの入力端子台の「+」と「-」の間に、**「250Ωの抵抗」**を信号線と一緒に共締めしてください。

- 計算式:
- 4mA × 250Ω = 1V
- 20mA × 250Ω = 5V
あら不思議。電流信号が、PLCの目の前で「1-5Vの電圧信号」に変換されました。
これで、電圧入力ユニットでも4-20mAセンサーの値を読むことができます。
【プロの鉄則】
- 精密抵抗を使え: 辺に転がっているような抵抗(炭素皮膜・誤差5%)を使ってはいけません。温度で抵抗値が変わり、数値がズレまくります。必ず「金属皮膜抵抗(金皮)」などの「精密抵抗(誤差0.1%〜1%)」を使ってください。
- あくまで電流→電圧: この技は「電流を電圧にする」時だけ使えます。逆(電圧を電流にする)は抵抗だけでは絶対に無理です。

まとめ:カタログの「配線仕様」を見落とすな
たかが線の本数、されど線の本数。ここを適当に選ぶと、現場での配線作業がストップします。最後に違いを整理しましょう。

間違えた時は、コラムで紹介した「シャント抵抗(250Ω)」の裏技を思い出してくださいね。
▼ アナログ信号基礎講座(全4回) 現場で使える知識を、順を追って解説しています。