【PLC入門】回路図とラダー図は別物!初心者がハマる「上から下へ」の罠

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「リレー回路が読めるなら、ラダー図も楽勝ですよ」

先輩はそう言いますが、信じてはいけません。確かに、見た目はそっくりです。同じ「接点記号」を使います。しかし、その中身(動きのルール)は、電気とは似て非なる別世界です。

今回は、現場で新人がハマる『失敗パターン』を見てきた実務9年の現役エンジニアの視点から、電気設計者がPLC(シーケンサ)を扱う際に最初に知っておくべき、「電気(ハード)」と「プログラム(ソフト)」の決定的な違いについて解説します。

結論から言うと、電気は「同時」に動きますが、プログラムは「順番」にしか動きません。

特に後半で解説する「b接点の罠」を知らないと、現場で「非常停止を押しても止まらない」という恐怖のパニックに陥ることになります。


目次

なぜ「ラダー(梯子)」と呼ぶのか?

PLCのプログラム画面を見ると、左右に縦線(母線)があり、その間を横線が繋いでいます。

この形が「梯子(ラダー)」に見えることから、ラダー図(Ladder Logic)と呼ばれます。

なぜこんな形なのか?

それは、まだPLCがなかった時代、リレー盤を組んでいた電気設計者たちが「新しいプログラミング言語(C言語など)なんて覚えたくない!」と言ったからです(多分)。

  • 発明の意図:「今までの電気回路図(シーケンス図)と同じ書き方でプログラムができたら、電気屋さんがそのままソフト屋になれる!」

この思想のおかげで、私たちは「接点」や「コイル」の知識だけで、高度なコンピュータ制御を組めるようになりました。


XとYって何?(デバイスの翻訳)

PLCの中では、スイッチやランプの呼び名(アドレス)が変わります。

メーカーによって多少記号は違いますが(今回は三菱電機ベースで解説)、基本は以下の3つです。

記号名称役割のイメージ
X入力リレー「受付窓口」
スイッチやセンサーなど、外からの信号を受け取る場所。
Y出力リレー「司令塔」
ランプやマグネットなど、外へ電気を送り出す場所。
M内部リレー「メモ帳」
PLCの脳内だけで完結するリレー。外には繋がらない。

つまりラダー図を書くときは、

「起動ボタンを押したら、ランプが光る」

ではなく、

「X0がONしたら、Y0をONする」

という翻訳作業を行います。


【最重要】電気は「同時」、ラダーは「順番」

ここが今回のハイライトです。

回路図とラダー図、見た目は同じでも「時間の流れ」が全く違います。

電気回路(ハード)の世界

  • 特徴:同時多発(パラレル)
  • 電源を入れた瞬間、全ての回路に光の速さで一斉に電気が流れます。
  • 回路図の「上の方」も「下の方」も、同時に動きます。

ラダー図(ソフト)の世界

  • 特徴:順次処理(シリアル)
  • コンピュータ(CPU)は、聖徳太子ではありません。一度に一つのことしかできません。
  • プログラムの「一番上の行」から「一番下の行」まで、猛スピードで1行ずつ順番に読んでいきます。
  • 一番下まで行ったら、また一番上に戻ってきます。

これを「スキャン(Scan)」と呼びます。

【図解:PLCの1周(スキャンサイクル)の内訳】

PLCのスキャンサイクル(処理の流れ)の図解。1.入力の読込(Input Refresh)、2.プログラムの実行(上から下へ計算)、3.出力の更新(Output Refresh)という3つのステップを高速(数ms)で繰り返している仕組み。

実はPLCは、プログラムを実行する前後に「準備」と「後始末」をしています。

  1. 入力読込(Input Refresh):
    • スキャンの最初に、カメラで「パシャッ」と撮るように、今のスイッチ(X)の状態をまとめて記憶します。
    • ※プログラムの実行中にスイッチを押しても、次の周まで無視されます。
  2. プログラム実行(Execution):
    • 記憶した画像をもとに、ラダー図を上から下へ計算します。
  3. 出力更新(Output Refresh):
    • 計算が終わったら、最後にまとめてランプ(Y)や外部機器へ信号を出力します。

この「読込 → 計算 → 出力」の1セットを、ものすごい速さで無限に繰り返しているのがPLCの正体です。

「1周」にかかる時間をスキャンタイムと言い、だいたい数ミリ秒〜数十ミリ秒の世界です。

初心者がハマるバグ:

「あれ?同時につじつまが合うはずなのに、一瞬だけ変な動きをするぞ?」

これはだいたい、「下の行の結果が上の行に反映されるのは、次の周(未来)」だということを忘れている時に起きます。


実践!前回の「自己保持」をラダーで書く(b接点の罠)

では、前回の記事で作った「自己保持回路」をラダー図にしてみましょう。

三菱電機製PLC(GX Works)でのラダー図記述例。起動ボタン(X0)と停止ボタン(X1)を使って出力(Y0)を保持する自己保持回路。停止入力X1に対して、b接点記号ではなくa接点記号を使用している正しい記述例。
  • 起動ボタン: X0 (a接点スイッチ)
  • 停止ボタン: X1 (b接点スイッチ ※ここ重要!)
  • 出力ランプ: Y0

ここで初心者が必ず悩みます。

「停止ボタンはb接点(NC)だから、ラダー図記号も『斜線入りのb接点記号 |/|』を使うべきだよね?」

→ 答え:違います!ここが最大の落とし穴です!

なぜ?(二重否定のパズル)

現場の「停止ボタン」は、安全のために「物理的にb接点(常時ON)」で配線されています。

つまり、誰もボタンを押していない時、PLCの入力「X1」には電気が来ていて「ON(1)」になっています。

  1. もしラダーで |/| (b接点記号) を使ったら?
    • ラダーの |/| は、「入力がOFF(0)なら導通する」という意味です。
    • 現状、X1は電気信号が来ていてON(1)です。
    • つまり、回路が切れてしまいます! これでは動きません。
  2. 正解は | | (a接点記号) を使う!
    • ラダーの | | は、「入力がON(1)なら導通する」という意味です。
    • 現状、X1はON(1)です。
    • これなら導通します!
    • そしてボタンを押した時、配線が切れてX1がOFF(0)になり、ラダー上の | | も導通しなくなって停止します。
現場の配線とPLCプログラムの論理の違い(b接点の罠)。物理的な停止ボタンがb接点(常時ON)の場合、ラダー図内ではa接点記号(ONなら通す)を使わないと回路が切れてしまうという「論理の反転」を解説した図。

「外の配線がb接点なら、中のラダーはa接点で受ける」

これが、PLC初心者が最初に覚えるべき「反転の反転」ルールです。頭がこんがらがりそうですが、図と照らし合わせてゆっくり考えてみてください。


まとめ:ラダー図は「電気回路のフリをしたプログラム」

  1. 見た目は回路図: でも中身は「上から下へ」動くプログラム。
  2. 翻訳: スイッチはX、出力はY、内部メモリはM。
  3. スキャン: 1行ずつ順番に処理して、繰り返している。
  4. b接点の罠: 外がb接点(常時ON)なら、中はa接点(ONなら通す)で受けるのが定石。

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【PLC入門】回路図とラダー図は「別物」と思え!初心者がハマる「上から下へ」の罠。左側は同時に電気が流れる電気回路(同時多発)、右側は上から下へ順番にスキャンするラダー図(順次処理)。その違いと「b接点の罠」に落ちる新人を描いたアイキャッチ画像。

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