「電気設計を始めよう!」と意気込んだものの、最初の壁になるのが「目に見えない電気の動き」と「難しそうな数式」です。
電圧? 電流? 抵抗? オームの法則?
言葉を聞いただけでアレルギー反応が出る人もいるかもしれません。
でも大丈夫。電気は目に見えませんが、「水」に例えると、驚くほど直感的に理解できます。
今回は、難しい数式を一切使わずに、電気の基本の「き」をマスターしましょう!
電気の3大要素は「水遊び」で理解しよう!
電気の世界には、主役が3人います。「電圧」「電流」「抵抗」です。
これらは、庭でホースを使って水撒きをする時の様子にそっくりなんです。
① 電圧(V:ボルト)=「水を押し出すパワー(水圧)」
- イメージ: 水道な蛇口をひねる強さ、または高い場所にある貯水タンク。
- 役割: 電気を流そうとする「圧力」のことです。
- このパワーが強いほど、水(電気)は勢いよく流れようとします。
「電圧が高い=パワーが強い」というイメージがありますが、実はそれだけでは危険性は決まりません。 その証拠に、私たちは日常的に「1万ボルト」の衝撃を受けても平気な顔をしています。その驚きの理由は、こちらの記事で詳しく解説しています。

② 電流(I:アンペア)=「実際に流れる水の量」
- イメージ: ホースの中をドボドボ流れている水そのもの。
- 役割: 実際に仕事をしたり、機械を動かしたりする「エネルギーの量」です。
- この量が多いほど、水車を速く回したり、大きなバケツを一杯にしたりできます(=大きな仕事ができる)。
③ 抵抗(R:オーム)=「水の流れを邪魔するもの」
- イメージ: ホースを足で踏んづけたり、ホースの中に詰まったゴミ、あるいは細すぎるノズル。
- 役割: その名の通り、電気の流れに「抵抗」する邪魔者です。
- これが大きいほど、水は流れにくくなります。
「オームの法則」は常識で考えれば当たり前!
さて、ここで有名な「オームの法則」が登場しますが、身構える必要はありません。
さっきの「水遊び」をイメージすれば、ごく当たり前のことを言っているだけだからです。
直感で理解するオームの法則
想像してみてください。
- 「圧力(電圧)」を強くしたら?→ 当然、「流れる水の量(電流)」は増えますよね。
- 「邪魔者(抵抗)」を大きくしたら?→ 当然、「流れる水の量(電流)」は減りますよね。
これだけです。これがオームの法則の本質です。
あえて式で書くなら、こうなります。
電圧(押す力) = 電流(流れる量) × 抵抗(邪魔する力)
V = I × R
「押す力(V)」は、「流れた量(I)」と「邪魔した量(R)」の掛け算で決まる、というバランスの関係を表しているだけなんです。
なぜ設計者はこれを気にするの?
「理屈はわかったけど、現場でどう使うの?」と思いますよね。
電気設計者がこの3つを気にする最大の理由は、「安全」のためです。
「電流(I)」が一番ヤバイ奴
3人の中で最も注意すべきなのは、実際に流れる量である「電流(アンペア)」です。
ホースに大量の水を無理やり流そうとすると、ホースが破裂しかけますよね?
電気も同じで、細い電線(抵抗が大きい)に、大量の電流(アンペア)を流そうとすると、電線が熱を持って、最悪の場合火災になります。
- 「このモーターはこれくらい電流を食うな」
- 「じゃあ、これくらい太くて抵抗の少ない電線じゃないと燃えるな」
- 「それを流し続けるには、これくらいの電圧の電源が必要だな」
このように、安全で効率的なシステムを作るために、設計者は常に頭の中でこの3つのバランスを計算しているのです。
まとめ:見えないからこそ、イメージが大事
- 電圧(V) = 押すパワー(水圧)
- 電流(I) = 流れる量(水量)
- 抵抗(R) = 邪魔するやつ(ホースの詰まり)
このイメージさえ持っていれば、この先どんな複雑な回路が出てきても、「あ、ここは水が流れにくそうだな」「ここは水圧がかかりそうだな」と直感で理解できるようになります。
難しい数式は、後からついてきます。まずはこの「水のイメージ」をしっかり頭に焼き付けてくださいね!
いかがでしょうか?
これなら、理系アレルギーがある方でもスッと入っていけると思います。
