【NPN vs PNP】なぜ海外はPNP?地絡事故から学ぶ「安全思想」の違い

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「センサーを注文しようとしたら、『NPNですか? PNPですか?』と聞かれた」 「海外製の装置に日本のセンサーを付けたら動かない!」

電気設計の初心者が必ず一度はハマる落とし穴、それが「NPN / PNP 問題」です。

カタログには「シンク(Sink)」「ソース(Source)」なんて専門用語も出てきて頭が痛くなりますが、現役エンジニアの視点で言えば、違いは「安全性」にあります。

今回は、数々の現場トラブルを見てきた実務9年の電気設計者が、「どっちを選べばいいのか?」の判断基準と、配線で一番間違えやすい「COM(コモン)端子の極性」について解説します。

結論から言うと、NPNは「日本の常識」、PNPは「世界の安全基準」です。

ただし、もし間違えて発注してしまい、納期も明日まで…という絶体絶命のピンチでも、現場にある「あの部品」を使えば動かせる裏技があります。


目次

そもそもNPN / PNPって何が違う?

難しく考えず、「スイッチがONした時、信号線がどうなるか?」の違いだと覚えましょう。

① NPN出力(シンク / 吸い込み)

  • 動作: スイッチONで、信号線が「0V(マイナス)」につながる。
  • イメージ: 電流をセンサーの中に「吸い込む(Sink)」
  • 分布: 日本・アジアで圧倒的シェア。日本の古い設備はほぼこれ。
NPN出力センサーの内部回路図。センサーが動作(ON)すると、負荷からの電流をセンサー内部に「吸い込む(Sink)」動作をすることをピンク色の矢印で示した図解。0V側(マイナス)でスイッチングを行う方式。

② PNP出力(ソース / 吐き出し)

  • 動作: スイッチONで、信号線から「24V(プラス)」が出てくる。
  • イメージ: 電流をセンサーから「吐き出す(Source)」。
  • 分布: 欧州(ヨーロッパ)・アメリカで標準。最近は日本でも安全規格対応のために増えている。
PNP出力センサーの内部回路図。センサーが動作(ON)すると、電源からの電流を負荷へ「吐き出す(Source)」動作をすることをピンク色の矢印で示した図解。24V側(プラス)でスイッチングを行う方式。

覚え方:

  • NPN = No voltage (0V) になる
  • PNP = Positive voltage (+24V) が出る

最大の難所:「コモン(COM)」のつなぎ間違い

センサーを選ぶ時、一番大事なのは「つなぐ相手(PLC入力ユニット)」に合わせることです。 ここで「コモン(共通端子)」の極性を逆にすると、絶対に動きません。

NPNセンサーを使う場合

  • センサーが「0V」にするスイッチなので、PLC側の入力は電流を流し込む必要があります。
  • PLCのCOM端子: 「+24V」につなぐ! (※ここが直感と逆で混乱ポイントです!)
NPNセンサーをPLC入力ユニットに接続する際の配線図。センサーの黒線(出力)をPLCの入力(X0)へ、PLCのCOM端子を「+24V(プラス)」に接続する「プラスコモン方式」の結線図。

PNPセンサーを使う場合

  • センサーから「24V」が飛んでくるので、PLC側の入力は電流を受け取る必要があります。
  • PLCのCOM端子: 「0V」につなぐ! (※こちらは素直な感覚です)
PNPセンサーをPLC入力ユニットに接続する際の配線図。センサーの黒線(出力)をPLCの入力(X0)へ、PLCのCOM端子を「0V(マイナス)」に接続する「マイナスコモン方式」の結線図。

なぜ世界(欧州)は「PNP」なのか?

「日本で普及しているNPNの方が、マイナス制御で分かりやすいじゃん」と思うかもしれません。 しかし、グローバルスタンダードがPNPなのは、明確な「安全上の理由」があります。

怖いのは「地絡(ショート)誤動作」

現場のケーブルが擦れて被覆が破れ、金属フレーム(アース/0V)に触れてしまった事故を想像してください。

  • NPNの場合(危険):
    信号線がフレーム(0V)に触れると、センサーはOFFなのに、電気的には「0Vになった(ONした)」のと同じ状態になります。
    つまり、「配線がショートしただけで、機械が勝手に起動してしまう」リスクがあります。これは非常に危険です。
  • PNPの場合(安全):
    信号線がフレーム(0V)に触れても、センサーがOFFの間は何も起きません(勝手に動くことはありません)。
    もし地絡したままセンサーがONになれば、その瞬間に24Vと0Vがぶつかってショートし、ヒューズが飛んだりセンサーの保護機能が働いて停止します。
    「異常があれば、動かさずに止める」。これがPNPが安全とされる理由です。

この「壊れた時に、安全側に倒れる(フェイルセーフ)」という思想から、安全規格に厳しいヨーロッパではPNPが標準化されているのです。

状況NPNの場合(危険)PNPの場合(安全)
地絡した瞬間センサーOFFなのに機械が勝手に動く。(一番怖い!)何も起きない。
センサーON時普通に機械が動く(地絡に気づけない)。ショートして電源が落ちる。(異常を知らせて止まる!)
NPNセンサー使用時に出力線(黒)が0Vラインと短絡(地絡)した場合の危険性を示す図。センサーがOFFの状態でも、地絡によって負荷に電流が流れ、装置が勝手に誤動作してしまうリスクを図解。
PNPセンサー使用時に出力線(黒)が0Vラインと短絡(地絡)した場合の安全性を示す図。地絡が発生すると電源(24V)と0Vがショートし、保護機能やヒューズが動作して電源が落ちるため、装置が誤動作せずに安全に停止する仕組み。

どっちを選べばいいの?

設計時の判断チャートは以下の通りです。

Q1. 接続先のPLCは決まっているか?

  • YES(盤がすでにある): PLCの入力カードの型式を確認。「シンク入力(NPN用)」か「ソース入力(PNP用)」かに合わせるのが絶対条件。 (※最近の三菱iQ-Fやキーエンスなどは、配線次第でどっちも使える「共用タイプ」が多いので楽です。)
  • NO(これから設計): Q2へ進む。

Q2. 輸出案件か? 安全規格(セーフティ)が必要か?

  • YES: 海外向け、あるいは安全カテゴリ(PL/SIL)を要求される回路(非常停止やライトカーテン)なら、迷わず「PNP」を選びましょう。
  • NO(国内の一般設備): 特に指定がなければ、入手性が良く慣れている「NPN」でも問題ありません。ただし、上記の地絡リスクは頭に入れておきましょう。

【現場の裏技】間違えて買った時は「リレー」で逃げろ!

「NPNのPLCなのに、間違えてPNPセンサーを買ってしまった…」 「納期がないから買い直せない!」

そんな時、現場のプロが使う必勝の変換テクニックがあります。 それは、「リレーを一つ挟むこと」です。

仕組みは単純

センサーで直接PLCに入力するのではなく、「センサーで一旦リレーをONさせ、そのリレーの接点をPLCに入れる」のです。

  1. センサー側: センサーの出力で、小型リレー(オムロンMY/G2Rなど)のコイルをON/OFFさせる。(NPNならコイルの片側を+24Vへ、PNPなら0Vへつなぐ)
  2. PLC側: リレーのa接点(ドライ接点)をPLCの入力につなぐ。

リレーの接点には極性(プラス・マイナス)がありません。 そのため、この方法を使えばNPNだろうがPNPだろうが、どんなPLCにでも無理やり接続することが可能になります。

注意点: ただし、リレーは機械的に動くため、反応速度が遅いです(数ms〜数十ms)。1秒間に何十回もON/OFFするような高速なセンサー(光ファイバーなど)には使えません。あくまで「通過確認」や「着座確認」などの低速信号用として使いましょう。


まとめ:コモンの極性に注意せよ!

  • NPN: 日本の標準。0VでONする。PLCのコモンはプラス(+24V)
  • PNP: 世界の標準。24Vが出る。PLCのコモンはマイナス(0V)
  • 安全: 配線ショート時に勝手に動かないのはPNP
  • 困ったら: リレーを挟めばなんとかなる(低速信号に限る)。

「間違えて買ったけど、なんとかならない?」と現場で青ざめないように、注文前の型式確認(末尾が-Cか-C3か、などメーカーによる違い)を徹底しましょう!

次回は、電気図面の読み書き基礎。「a接点・b接点」の真の意味と、シーケンス図の「自己保持回路」を3分で理解する!

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【NPN vs PNP】なぜ日本はNPN(マイナスコモン)なのか?海外標準PNPとの「安全思想」の違い。左側は日本で主流のNPN(吸い込み/Sink)で誤動作リスクがあることを示し、右側は海外標準のPNP(吐き出し/Source)が安全(Safety)であることを対比したアイキャッチイラスト。

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