【温度センサ】熱電対と測温抵抗体の違い!2本と3本で見分ける現場の鉄則

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「盤図を見たら『K』や『Pt』と書いてあるけど、何が違うの?」 「温度センサなんて、どれを使っても一緒でしょ?」

もしそう思って適当に選定しているなら、将来必ず痛い目を見ます。 用途に合わないセンサを選ぶと、温度が安定せず制御不能になったり、最悪の場合、すぐに断線して「設備の停止」という地獄を招くからです。

この記事では、実務9年の現役電気設計者が、現場で迷いがちな「熱電対」と「測温抵抗体」の違いを、専門用語なしの「キャラ設定」で分かりやすく解説します。

先に結論を言います。 まずは「熱電対(K)」を選ぶのがセオリーです。 安くて丈夫で、ほとんどの用途をカバーできるからです。

しかし、ある「たった一つの条件(配線)」を間違えると、熱電対は使い物にならなくなります。

この記事を読めば、2本線と3本線を見ただけでセンサを見分け、現場の状況に合わせた「プロの選定」が瞬時にできるようになります。


目次

一発で見分ける! 現場での「見た目」の違い

原理の話の前に、まずは現場で「これどっちだ?」と迷った時の見分け方です。 温度調節計(温調器)やPLCの入力端子を見てください。

  • 端子が「2つ」なら … 熱電対(Thermocouple)
    • 多くの場合、被覆線が「赤と白」や「青と黄色」など色分けされています。
  • 端子が「3つ」なら … 白金測温抵抗体(RTD / Pt100)
    • A, B, B (または A, B, b)と書かれた端子台につながっています。

(※2線式の測温抵抗体もありますが、産業用の精度の高いものはほぼ「3線式」です。現場では「3本ならPt」と覚えておけば9割通用します。 )


熱電対(Kタイプ):タフで安い「野生児」

熱電対(Thermocouple)は、「2種類の異なる金属」を先端でくっつけただけのシンプルなセンサです。 この先端をあぶると、温度差で微弱な電気が発生する(ゼーベック効果)のを利用して温度を測ります 。

熱電対の測定原理を示す回路図。異なる2種類の金属(A金属・B金属)の先端を接合し、測定点と基準接点の間に温度差が生じることで熱起電力が発生する「ゼーベック効果」の仕組み。

現場でのキャラ設定:

「細かいことは気にしない! 頑丈で安い、現場のタフガイ」

  • 得意なこと:
    • 超高温に強い: 1000℃を超える炉の温度でもへっちゃらです 。
    • 安い: 構造がシンプルなので、数百円〜数千円で買えます 。
    • 頑丈: 振動や衝撃に強く、少々手荒に扱っても壊れません 。
  • 苦手なこと:
    • 精度はそこそこ: ±2℃くらいの誤差は「まあ許容範囲だろ」というスタンスです。

【重要】配線の落とし穴「補償導線」

熱電対を使う時、絶対にやってはいけないことがあります。 それは、「普通の電線(銅線)で延長すること」です 。

熱電対は「金属の種類」が命です。普通の銅線で継ぎ足すと、そこで金属の種類が変わってしまい、温度がめちゃくちゃになります。 必ず「補償導線」という、熱電対専用の延長ケーブルを使ってください 。

ちなみに、熱電対の配線には専用の『補償導線』が必須ですが、通常の動力線や信号線の選び方には自信がありますか? 基礎から復習したい方は、こちらの記事もあわせて保存版にしてください。

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白金測温抵抗体(Pt100):繊細で正確な「貴公子」

白金測温抵抗体(RTD)は、温度によって電気抵抗が変わる「白金(プラチナ)」を使ったセンサです 。 一般的に「Pt100(ピーティーヒャク)」と呼ばれます。

現場でのキャラ設定:

「汚れ仕事は嫌いです。でも、精度に関しては一切妥協しません」

  • 得意なこと:
    • 超高精度: 0.1℃単位の細かな温度変化も正確に捉えます 。
    • 安定感: 経年劣化が少なく、信頼性が抜群です 。
  • 苦手なこと:
    • 超高温は無理: だいたい500℃くらいが限界です。
    • 高い: 素材がプラチナなので、熱電対より高価です 。

【重要】なぜ線が3本あるの?

Pt100は抵抗値を測るセンサです。 電線が長いと、電線自体の抵抗(邪魔者)まで測定してしまい、誤差が出ます。

その誤差をキャンセル(打ち消し)するために、「3本目の線」を使って計算しているのです。

だから配線には「3芯のシールド線」などを使い、3本とも同じ長さ・同じ太さにする必要があります 。


どっちを選ぶ? 究極の判断基準

「で、結局どっちを使えばいいの?」 迷った時は、以下のチャートで判断してください。

ケースA:熱電対(Type K)を選ぶべき現場

  • 温度が高い: 500℃以上の場所(焼却炉、成形機のヒーターなど)。
  • コスト重視: とにかく安く大量に設置したい 。
  • 環境が悪い: 振動がある、狭い場所に曲げて入れたい。
  • 「だいたい合ってればいい」: 1℃〜2℃のズレは気にしない。

ケースB:白金測温抵抗体(Pt100)を選ぶべき現場

  • 温度が低い〜中くらい: -200℃ 〜 500℃の範囲。
  • 精度が命: 化学反応の制御、食品の殺菌温度、流量計の補正など 。
  • 「0.1℃のズレも許せない」: 品質管理に直結する重要なポイント。
種類
記号
構成材料 温度範囲
+側導体 -側導体
B ロジウム30%を含む白金ロジウム合金 ロジウム6%を含む白金ロジウム合金 600℃以上 1,700℃未満
R ロジウム13%を含む白金ロジウム合金 白金 0℃以上 1,600℃未満
S ロジウム10%を含む白金ロジウム合金 白金 0℃以上 1,600℃未満
N ニッケル,クロム及びシリコンを主とした合金 ニッケル及びシリコンを主とした合金 -40℃以上 1,200℃未満
K ニッケル及びクロムを主とした合金 ニッケル及びアルミニウムを主とした合金 -40℃以上 1,200℃未満
E ニッケル及びクロムを主とした合金 銅及びニッケルを主とした合金 -40℃以上 900℃未満
J 銅及びニッケルを主とした合金 -40℃以上 750℃未満
T 銅及びニッケルを主とした合金 -40℃以上 350℃未満
C レニウム5%を含むタングステン・レニウム合金 レニウム26%を含むタングステン・レニウム合金 426℃以上 2,315℃未満

まとめ

  • 熱電対 (K): 2本線。タフで熱に強く、安い。普通の銅線で延長するのはNG(補償導線を使う) 。
  • 測温抵抗体 (Pt): 3本線。繊細で精度が高く、高い。食品や薬品などシビアな現場向け 。

まずは盤を開けて、線が2本か3本かを確認してみてください。それだけで、その設備が「パワー重視」なのか「精度重視」なのかが見えてくるはずですよ。

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