「温度を測りたいけど、センサは何を選べばいい?」 「盤図を見たら『K』とか『Pt』とか書いてあるけど、何が違うの?」
温度センサの世界には、永遠のライバルである2大巨頭がいます。 それが「熱電対(ねつでんつい)」と「白金測温抵抗体(はっきんそくおんていこうたい)」です。
カタログのスペック表を見ると小難しいことが書いてありますが、現場での選び方は実はシンプルです。 今回は、この2つの違いを「キャラ設定」に例えて、直感的に使い分けられるように解説します。
一発で見分ける! 現場での「見た目」の違い
原理の話の前に、まずは現場で「これどっちだ?」と迷った時の見分け方です。 温度調節計(温調器)やPLCの入力端子を見てください。
- 端子が「2つ」なら … 熱電対(Thermocouple)
- 多くの場合、被覆線が「赤と白」や「青と黄色」など色分けされています。
- 端子が「3つ」なら … 白金測温抵抗体(RTD / Pt100)
A, B, B(またはA, B, b)と書かれた端子台につながっています。
(※例外として2線式の測温抵抗体もありますが、産業用の精度の高いものはほぼ3線式です )
熱電対(Kタイプ):タフで安い「野生児」
熱電対(Thermocouple)は、「2種類の異なる金属」を先端でくっつけただけのシンプルなセンサです。 この先端をあぶると、温度差で微弱な電気が発生する(ゼーベック効果)のを利用して温度を測ります 。

現場でのキャラ設定:
「細かいことは気にしない! 頑丈で安い、現場のタフガイ」
- 得意なこと:
- 超高温に強い: 1000℃を超える炉の温度でもへっちゃらです 。
- 安い: 構造がシンプルなので、数百円〜数千円で買えます 。
- 頑丈: 振動や衝撃に強く、少々手荒に扱っても壊れません 。
- 苦手なこと:
- 精度はそこそこ: ±2℃くらいの誤差は「まあ許容範囲だろ」というスタンスです。
【重要】配線の落とし穴「補償導線」
熱電対を使う時、絶対にやってはいけないことがあります。 それは、「普通の電線(銅線)で延長すること」です 。
熱電対は「金属の種類」が命です。普通の銅線で継ぎ足すと、そこで金属の種類が変わってしまい、温度がめちゃくちゃになります。 必ず「補償導線」という、熱電対専用の延長ケーブルを使ってください 。
白金測温抵抗体(Pt100):繊細で正確な「貴公子」
白金測温抵抗体(RTD)は、温度によって電気抵抗が変わる「白金(プラチナ)」を使ったセンサです 。 一般的に「Pt100(ピーティーヒャク)」と呼ばれます。
現場でのキャラ設定:
「汚れ仕事は嫌いです。でも、精度に関しては一切妥協しません」
- 得意なこと:
- 超高精度: 0.1℃単位の細かな温度変化も正確に捉えます 。
- 安定感: 経年劣化が少なく、信頼性が抜群です 。
- 苦手なこと:
- 超高温は無理: だいたい500℃くらいが限界です。
- 高い: 素材がプラチナなので、熱電対より高価です 。
【重要】なぜ線が3本あるの?
Pt100は抵抗値を測るセンサです。 電線が長いと、電線自体の抵抗(邪魔者)まで測定してしまい、誤差が出ます。 その誤差をキャンセル(打ち消し)するために、「3本目の線」を使って計算しているのです。だから配線には「3芯のシールド線」などを使い、3本とも同じ長さ・同じ太さにする必要があります 。
どっちを選ぶ? 究極の判断基準
「で、結局どっちを使えばいいの?」 迷った時は、以下のチャートで判断してください。
ケースA:熱電対(Type K)を選ぶべき現場
- 温度が高い: 500℃以上の場所(焼却炉、成形機のヒーターなど)。
- コスト重視: とにかく安く大量に設置したい 。
- 環境が悪い: 振動がある、狭い場所に曲げて入れたい。
- 「だいたい合ってればいい」: 1℃〜2℃のズレは気にしない。
ケースB:白金測温抵抗体(Pt100)を選ぶべき現場
- 温度が低い〜中くらい: -200℃ 〜 500℃の範囲。
- 精度が命: 化学反応の制御、食品の殺菌温度、流量計の補正など 。
- 「0.1℃のズレも許せない」: 品質管理に直結する重要なポイント。

まとめ
- 熱電対 (K): 2本線。タフで熱に強く、安い。普通の銅線で延長するのはNG(補償導線を使う) 。
- 測温抵抗体 (Pt): 3本線。繊細で精度が高く、高い。食品や薬品などシビアな現場向け 。
まずは盤を開けて、線が2本か3本かを確認してみてください。それだけで、その設備が「パワー重視」なのか「精度重視」なのかが見えてくるはずですよ。